労働基準法では、法定三帳簿(「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」)の作成を義務付けています。
法定帳簿シリーズ、今回は賃金台帳について解説していきます。
(前回解説しました「労働者名簿」はこちらからご覧ください。)
賃金台帳は、「各事業場ごとに調製し、賃金支払いの都度、遅滞なく各労働者ごとに記入しなければならない」とされています。
厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーに様式がございます。
・常用労働者用
・日雇い労働者(日々雇い入れられる者)用
具体的には、 以下の情報が記載されていることが必要とされています。
1. 氏名
2. 性別
3. 賃金計算期間 ※日雇いの労働者についてはこの項目の記載は不要です。
4. 労働日数
5. 労働時間数
6. 休日労働時間数
7. 時間外労働時間数
8. 深夜労働時間数
9. 基本給・手当の種類とその額
10.控除項目とその額
「月々の給与明細書の保管ではだめなのでしょうか?」とご質問をいただくこともございますが、正確にお伝えしますと、記載内容は一部重複するものの「賃金台帳」と「給与明細書」は、異なるものです。
「賃金台帳」は、労働基準法を根拠として「保管」が義務づけられているものですが、
「給与明細書」は所得税法を根拠として従業員に給与の総額とその内訳を「通知」するための書類です。
「給与明細書」では、賃金計算期間や労働日数・労働時間などの記載は求められていないため、上記要件を満たさない場合は代用することはできません。
また、賃金台帳は電子で保管することが認められています。
電子で保管する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
1. 労働者名簿を画面に表示し、印字するための装置を備えておくこと。
2. 閲覧・提出等が必要になった場合に、直ちに必要事項が明らかになっている写しを提 出できるようにしておくこと。
事業所にパソコンとプリンターがあれば、問題ありません。
法定三帳簿の賃金台帳を作成していなかったり、5年間(現在、猶予措置で3年間)の保存期間を守っていない場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。
保管期限は「最後に賃金台帳に記載した日」または「最後に賃金台帳に記載した日がその記録に関わる賃金の支払い期日より前」であれば、支払い期日から起算します。
賃金台帳は労働基準監督署や年金事務所など行政機関に提示を求められれば速やかに提示しなければなりませんので、誤りなく記載し、定められた期間保存するようご留意ください。
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